脇汗の原因となる5つの謎を公開!

脇汗の悩みが多いのには複雑な秘密があります。それは、脇に分泌腺が3つそろっており、しかもそれぞれの分泌される原因が異なるからです。脇汗の原因となるのは5つあり、3つの分泌腺と絡み合っています。脇汗の原因について知識をまとめました。

1.脇だけ3つの分泌腺が揃っている~脇汗は特別

手や顔にも汗をかきます。脇以外の皮膚で分泌されるのは、汗と皮脂です。脇は他と違い、2種類の汗と皮脂、つまり脇には3つの分泌腺が揃っているのです。これが脇汗の問題を複雑にしている原因なのです。以下、脇汗という場合は、3つの分泌腺を含みます。まず、脇汗の3つの分泌腺のことを知りましょう。

①エクリン腺の汗

エクリン腺は身体中に分布している、非常に小さな汗腺です。体温調節のための汗なので、全身に広く分布しています。

エクリン腺の汗は、ナトリウム、カリウム、塩素、アンモニウム、尿素などが微量に含まれますが、99%は水分です。水分以外の成分を再吸収して、汗となって出るのは水分と僅かな塩分なのでサラサラしています。汗腺がちゃんと機能しないと、他の成分も混ざるので、ベタベタ汗になります。

人間は脳が発達して、大量の熱を放出する必要がありました。そこで体温調節のための発汗機能が生まれたのです。脇はエクリン汗腺が沢山分布しているので、脇汗の量が多いのです。

②アポクリン腺の汗

アポクリン腺の汗腺のほとんどは脇の下にあり、他は外耳道・乳輪・外陰部・肛門周辺などにわずかにあるだけです。

アポクリン腺は、体毛の毛穴につながっており毛穴を通じて発汗します。脇毛の数だけアポクリン汗腺があるわけです。アポクリン腺の汗の成分は、タンパク質・糖質・脂質・鉄分・アンモニア・ステロイド類・脂肪酸・色素リポフスチンなどで、塩分はほとんどありません。成分が濃厚なため、粘り気があります。

アポクリン腺は、仲間を識別したり、生殖のために異性を引きつけるフェロモンとしての役割です。現代人には厄介ですが、動物にとっては種の生存のために重要な機能です。

③皮脂腺

汗ではありませんが、毛穴と直結した皮脂腺という分泌腺があります。脇では脇毛の毛穴にあるので、脇毛が多いと、皮脂腺も多いのです。肌を保護する脂肪を分泌するための腺で、ほぼ全身の皮膚に分布しています。皮脂とエクリン腺の汗の水分が混じり合って、皮脂膜を作り、皮膚を保護しています。この皮脂膜に常在細菌が存在しています。

④脇汗の臭いの原因は

それぞれの汗自体に臭いはありません。皮脂膜にある常在細菌が、脂肪酸やタンパク質などの成分を分解することによって、臭いを発します。アポクリン腺や皮脂腺からの分泌は、脇汗の臭いの原因となる成分が豊富なのです。分解された臭い成分が、汗の水分に混じって飛散し鼻に届きます。

2.脇汗が出る原因~3つの分泌腺と5つの原因

脇汗はどうして出るのか?その原因を解説します。脇汗には3つの分泌腺がありますが、それぞれに分泌の原因が異なります。原因が5つもあるという点が、脇汗の問題を複雑にしています。脇汗が出る原因を知りましょう。

①温熱性発汗~体温調節のために出る脇汗

人間は、36.5度~37度くらいが、代謝や酵素や免疫力が最も活発に働きます。体温調節のために発汗は不可欠な機能です。暑くなると、汗を出して気化熱を奪って蒸発し、体温を下げます。このように温熱が原因による温熱性発汗は、エクリン腺から出ます。

②精神性発汗~緊張やストレスが原因で出る脇汗

よく「手に汗を握る大勝負!」などと表現されるように、誰でも緊張すると汗をかきます。緊張やストレスなど、精神的要因が原因となって出る汗を、精神性発汗と言います。脇汗のエクリン腺、アポクリン腺、皮脂腺の3つとも、精神的要因が原因となって分泌が促進されます。

③味覚性発汗~刺激の強い食べ物が原因で出る脇汗

激辛カレーなど、辛いものや刺激の強いものを食べた時にも脇汗が出ます。味覚性発汗と言います。エクリン腺、アポクリン腺、皮脂腺は、味覚性の刺激が原因となって、分泌が促進されます。

④性ホルモンの刺激が原因となって分泌される脇汗

アポクリン腺と皮脂腺は、性ホルモンの影響を受け、性ホルモンが活発になると、分泌が促進されます。ステロイドホルモンの一種であるアンドロゲンという男性ホルモンが分泌に関っています。女性でもアンドロゲンは卵巣からも分泌され、卵胞ホルモンに変換されます。性ホルモンの活動が原因となるので、思春期~更年期頃まで分泌が活発になります。

⑤温度・湿度が原因となる分泌

皮脂は、皮膚を保護する働きなので、皮膚の温度が高くなると乾燥を防ぐために分泌が活発になります。皮脂腺は、温度・湿度が原因となって分泌が促進されることもあります。

⑥脇汗の原因のまとめ

以上の脇汗が出る原因をまとめると、以下のようになります。3つの分泌腺から、5つの原因によって、脇汗が出ます。これらの原因が複雑に絡み合っているのが、脇汗の悩みの秘密です。

  • エクリン腺を刺激する原因=温熱による原因、味覚による原因、精神的緊張などによる原因
  • アポクリン腺を刺激する原因=性ホルモンによる原因、精神的緊張などによる原因、味覚による原因
  • 皮脂腺を刺激する原因=性ホルモンによる原因、精神的緊張などによる原因、味覚による原因、温度・湿度による原因

3.脇汗の原因から発汗・分泌までのしくみ

これらの原因から、どのようなしくみで脇汗は発汗・分泌されるのでしょうか。見てみましょう。

①温熱、味覚刺激が原因の場合

エクリン腺もアポクリン腺も、脇に多く分布しているので、脇汗の発汗量は多くなります。

体内や皮膚からの温度情報、味覚刺激→自律神経の中枢である「視床下部」→交感神経に指令を出す。ノルアドレナリン~途中の神経ブロック以降はアセチルコリンという伝達物質で汗腺に伝える→エクリン腺、アポクリン腺、皮脂腺分泌促進
発汗はどんな原因であれ、交感神経の指令によります。

②精神的ストレスや緊張が原因の場合

精神的ストレスや緊張は、脇汗を増やします。精神的ストレスなどは、日常的によくあることなので、大変厄介です。脇汗は、自律神経の働きと深く関わりがあります。

精神的ストレスや緊張→自律神経の中枢である「視床下部」→脳下垂体→副腎皮質ホルモン(コルチゾール)分泌→大脳辺縁系(扁桃体が興奮)→交感神経→脇のエクリン腺、アポクリン腺、皮脂腺分泌促進

③性ホルモンが原因の場合

脇汗の、アポクリン腺、皮脂腺は性ホルモンの影響を受けますが、経路は2つあります。

  1. 視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌→脳下垂体→精巣/卵巣アンドロゲン分泌→アポクリン腺、皮脂腺分泌促進
  2. 視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌→脳下垂体→副腎皮質ホルモン(コルチゾール)分泌→大脳辺縁系(扁桃体が興奮)→交感神経→アポクリン腺、皮脂腺分泌促進

脇汗は、普通の体温調節だけでなく、精神的原因や、性ホルモンの影響を受けるところが、大変複雑です。何か1つを解決すれば良いわけではないのがお判りでしょう。自律神経を整えて、交感神経を過剰に刺激しないことが大切です。バランスの良い食生活や、適度な運動と休養など、生活習慣のあり方が、脇汗の原因を軽減することにつながります。