味覚性発汗とは?

激辛カレーなどの刺激物を食べると汗が出るという経験は誰でもあるでしょう。食べ物が原因で汗が出る場合を”味覚性発汗”といいます。ここでは、味覚性発汗とはどの様な症状なのか?解説して行きます。

1. 味覚性発汗とは?

唐辛子が一杯のキムチ鍋などを食べた時に、「顔から火が出る」などと表現されるように汗をかきます。このように、食べ物が原因で汗が出る事を「味覚性発汗」といいます。味覚性発汗は、味覚刺激が交感神経に伝わって汗が出ると考えられています。ただ、それほど強くない酸味やチョコレートなどでも味覚性発汗が起こることが報告されています。実は、味覚そのものや味覚性発汗については、いまだ判っていないことが多いのです。

2. 発汗には3つの種類がある

発汗には、温熱性発汗精神性発汗と味覚性発汗があります。温熱性発汗は、体温調節のための発汗です。精神性発汗は、緊張や不安などの精神的原因によって起こる発汗です。そして刺激物などの食べ物が原因となって起こる発汗が味覚性発汗です。

3. 辛味が味覚性発汗を引き起こすしくみ

ホットチリなどの辛味は、味覚と痛覚の組み合わせなので汗が出ます。唐辛子の成分であるカプサイシンは、痛覚神経を刺激してアドレナリンの分泌を促し➡交感神経を刺激➡汗腺に発汗指令➡というしくみで発汗を引き起こします。しかし、チョコレートなどで味覚性発汗が起こるしくみは判っていません。

4. 味覚は複合的な知覚

味覚性発汗のもとになるのは、本当に味覚なのでしょうか?味覚について現在わかっている範囲で簡単に説明しましょう。
味覚とは、塩味・甘味・酸味・苦味・旨味5つの基本味とされています(旨味は後から追加されました)。

5つの基本味に辛味は含まれていません。舌にある味覚受容体がこれらの味覚情報を感知して、脳の味覚野に送ります。味覚情報と舌触りや温度などの食感・物理的情報と組み合わせて、総合的に「味覚」として認識されます。さらに味覚は嗅覚(きゅうかく)の関わりが非常に大きく、他に視覚、記憶の影響も強く受けます。
味覚性発汗を引き起こす刺激が「味覚」の中のどの要素かという判定はとても難しいのです。知覚心理学的には、味覚は単独では存在しえないとされています。味覚は複合的な知覚だといえます。

味覚の中では苦味が最も感度が高く苦味に特化した受容体が25種類もあります。苦味に続いての感度は、塩味>酸味>甘味という順です。

苦味受容体は、人体にとって摂取してはいけない毒を感知するためのセンサーだと考えられています。塩味は細胞活動に必要なナトリウムを検知するためのセンサー。酸味は腐ったものを検知するためのセンサーと考えられます。いずれも生存に必要ですが、塩味や甘味は人体にメリットになり、苦味・酸味は人体に害を及ぼすことがあります。そうすると、苦味や酸味が緊張を招く(交感神経を刺激する)ことは考えられます。

味覚性発汗は様々な要因が関っていることがわかります。味覚性多汗症の多くが精神性発汗によるのも、嗅覚や記憶との関りが深いためと考えられています。