ワキガの手術は保険適用になりますか?

「ワキガの悩みをスッキリ解消したいけど手術となると費用が気になる」という方もいらっしゃるでしょう。ワキガの手術は一定の条件を満たすと、保険適用されます。しかし、どこでも保険適用されるわけではありません。ワキガ手術の際の保険適用について解説します。

1.保険適用とは?

診療には“保険診療”と“自由診療”という2つの種類があります。

(1)保険診療

保険診療は保険適用される診療で、自己負担額(国民健康保険なら3割負担)を払えば、残りは健康保険組合が医療機関に支払います

(2)自由診療

自由診療は保険適用されない診療で、全額自己負担です。健康保険は病気・疾患治療のためなので、美容整形手術などは美容目的のためは保険適用されません。

保険適用される範囲は決まっていますので、さらに良くしたいという種類の診療には適用されないのです。歯医者さんの歯の詰め物で、「保険にしますか?自費にしますか?」と聞かれることがあります。最低限の治療は保険適用されるけれど、より良い治療は自由診療というわけです。

病院によって、保険適用の範囲の診療にするかどうかの対応が違います。

ワキガは病気でありませんが、社会生活に支障を来たす可能性があるということで、症状によってはワキガ手術も保険適用されます。自由診療では、20~40万円ほどの費用がかかります。保険適用であれば両脇で検査なども含め5万円前後(3割負担の場合)の費用で済みます。ただし、保険適用の条件を満たしていることが必要です。

2.ワキガ手術 – 保険適用の3つの条件

保険適用でワキガ手術を行うには3つの条件があります。①保険診療を行っている施設であること、②ワキガの診断基準を満たすことと、③保険で認められる手術方法であること、が必要です。それぞれについて説明します。

条件1 – ワキガ手術が保険適用される施設か?

ワキガの治療でも、美容クリニックなどでは保険診療を行っていない所もあります。また、他の手術は保険適用できるけど、ワキガ手術は手間がかかるので保険適用されないという場合もあります。医療機関によって対応が様々なので、必ず事前にワキガ手術について保険適用の有無を確認することが大切です。

ひとつの治療について、保険診療と自由診療を混合することは基本的に禁じられています。例えば、ワキガの手術前に、ワキガ治療の別の方法で自由診療の治療を受けていると、保険適用されない場合があります。ワキガ治療については、医師とよく相談する事が大切です。ワキガ手術は、形成外科や美容外科で行われていることが多いようです。

条件2 – 医師が保険適用できると認めるワキガであること

①ワキガの重症度を医師が臭いで判断します。腋臭症の場合は、ガーゼテストでレベル判定をします。脇の下にガーゼをはさんで、数分間、汗をかく位の運動をします。その後、医師がガーゼの臭いを嗅いで判定します。

  • レベル1=臭わない
  • レベル2=少し臭う
  • レベル3=鼻を近づけるとわかる(軽度)これ以上が、保険適用される
  • レベル4=鼻を近づけなくてもわかる(中等度)
  • レベル5=ガーゼを手に持っただけでわかる(重度)

ワキガの臭い ”レベル3” 以上で、保険適用されるのが一般的です。ただ臭いは数値化できないので、医師の主観が入るのは避けられません。専門家ではありますが、レベル3はなかなか微妙です。医師ひとりだけでなく、複数でチェックする場合も多いようです。また、ワキガの臭いも、その時々の体調により、強くなったり弱くなったりします。

②ワキガ(腋臭症)と認定されるのは、アポクリン腺の汗についてです。玉ねぎの腐ったような食品系の臭いと、鉛筆の芯のような臭いが代表です。生乾きのタオルのような汗臭さは、エクリン腺の汗によるものです。

③医師が、ワキガを診断する場合には、他に問診と耳垢チェックがあります。問診は、ワキガの家族歴をたずねます。ワキガは優性遺伝なので、親や兄弟にワキガの人がいるかを問います。また、耳垢の湿りタイプ/乾燥タイプも、ワキガの判断の参考にします。

条件3 – 保険適用される手術方法であること

ワキガ手術はアポクリン腺の除去が目的です。メスで切開して、アポクリン腺を除去しますが、手術法で切開の範囲に違いがあります。

代表的な3つのワキガ手術法を、簡単に紹介します。保険適用されるのは、①の剪除法です。医療機関によって、対応が違いますので、事前に確認することが大切です。

①剪除法(皮弁法)

最も一般的に行われている方法で、保険適用が可能な手術です。本手術の前に、試験切開してアポクリン腺の分布を確認し、アポクリン腺があればそのまま手術を続けます。ない場合は、試験切開のみで、この場合は自由診療で5万円位。

メスで皮膚に1~2本、3~5cmほど切れ目を入れて、皮膚を裏返して、アポクリン腺をひとつひとつ除去します。切開の後が1~2本残ります。しかし直接アポクリン腺を眼で見て取り除くので、80~90%除去できるのがメリットです。

②掻爬法(吸引法)

小さくメス切開した部分から、器具を挿入してアポクリン腺を除去します。器具は、吸引タイプや掻き出すタイプなどがあります。この方法は、切開の傷跡は小さいというメリットがあります。しかしアポクリン腺を直接見て除去するわけではないので、取り残す可能性はあるというデメリットがあります。

イナバ式

上記②と同じ様に、メス切開した部分から、器具を挿入します。器具は剃刀状のものを使います。この方法は、アポクリン腺だけでなく、エクリン腺も除去できます。多汗症を併発している場合などは効果があります。しかし上記②と同様に、取り残す可能性はあります。

剪除法のワキガ手術で1時間~2時間くらいです。丁寧に除去してくれる所は、時間もかかるようです。手術は1日で済みますが、その後の通院と術後のアフターケアは必要です。保険適用もそうですが、ワキガ手術の方法や熟練度、病院の方針なども、違いがあります。副作用や取り残しの可能性など、事前に充分相談して、納得の上、行うことが大切です。