精神性発汗とは?

夏場の暑い時期ではなくても、緊張すると手や顔に汗をかくのは誰でもあることです。汗の主な働きは体温調節ですが、緊張して汗をかくのは体温調節のためではなく、精神面の影響が主な原因となり、これを「精神性発汗」と呼びます。ここでは、精神性発汗について説明をしていきます。

1. 精神性発汗とは?

夏場、太陽がさんさんと照り輝く時期のように、気温が高い時は体から汗が出ますが、これは人間が身体の体温を調節するための機能であり、「温熱性発汗」といいます。しかし、緊張した時や人前で失敗した時などに出る汗は、精神面での影響が原因となっており、これを「精神性発汗」といいます。体温調節のための汗とは、発汗のしくみが少し違います。

精神性発汗の原因

精神性発汗の原因は緊張・興奮・不安・精神的ストレス・恐怖・驚きなどの精神的刺激です。
自分で意識しない精神的ストレスや些細なことでも汗が出ることがあります。例えば、以前にイヤな思いをした場所などに行くと、自然に汗が出ることがあります。精神性発汗が厄介なのは、また「汗が出ると困るな」、「また失敗するのではないか」などという不安が不安をよんで、汗が多量に出る場合があるということです。

精神性発汗のしくみ

精神性発汗はどのような仕組みで起こるのでしょうか?下記の①~④が主な発汗の流れになります。

  1. 緊張すると心拍数が上がったり、血圧が上昇したり、血管が収縮するなど、体の内部で変化が起こります。
  2. この変化で脳の扁桃体(へんとうたい)という情動に関る部分が ”不快” と判断します。
  3. すると副腎皮質という場所から、コルチゾールというストレスホルモンが出て、恐怖のホルモンと言われるアドレナリンが分泌されます。
  4. アドレナリンは交感神経を刺激して、汗腺に発汗指令が伝わり汗が出ます。
よく、「アドレナリンが出た!」という風に日常生活の中で表現しますが、アドレナリンが出ると体は興奮しますので、その結果、汗が出るという流れなわけですね

精神性発汗は何のために備わっているのか?

精神性発汗が温熱性発汗と違うところは、扁桃体が関ることです。

扁桃体は、生きようとする意思や敵から身体を守ろうとするなどの本能的な部分の価値を判断しているところです。私達が頭で判断するのとは情報の伝わる速さも違います。

今の私達の身体のしくみが出来たのは20~10万年ほど前と言われています。外敵に襲われた時に、いちいち考えていたら、逃げ遅れてしまいます。瞬時に判断して、体内の防御システムを動かすことが必要だったのです。

そして裸足で走って逃げる、または棒を持って敵と戦う、木や岩場を登るなどの行動が必要だったでしょう。手足が滑っては命に関ります。また逃げたり戦って体温が上昇すると、放熱しなければなりません。精神性発汗は外敵から身を守るために必要なものだったのです。

今の時代ではいきなり敵に襲われるというケースはほとんどありませんが、扁桃体は敵の攻撃なのか、上司の怒鳴り声なのかは判断できません。体内が不快な緊張状態にあるか、ないかということで判断しています。

平和な環境にいる私達にとっては、精神性発汗は嫌なものでしかありませんが、精神性発汗のしくみがあったからこそ人類が絶滅せずに生き延びてきたというわけです。

 

 

2. 精神性発汗を抑えるためには

発汗は自律神経の交感神経の興奮によって指令が伝わります。自律神経が不安定な状態にあると、些細なことで緊張状態になりやすく交感神経が過剰になりやすいのです。

精神性発汗を抑えるためには自律神経を整えておくことが大切です。まずは、生活リズムを一定にして、活動と休養のバランスをとりましょう。