足の多汗症の治療と対策

一日中靴を履いている人にとって、足の汗や臭いは大変困りものです。足の汗がひどい場合は、「足蹠多汗症(そくしょたかんしょう)」かもしれません。足の多汗症は気付きにくく、改善の機会を逸しているとも言えます。足の多汗症についての治療や対策をまとめました。

1.足の多汗症に気づかず悩む人が多い

日本で、足の多汗症の有病率は2.8%となっています。手の多汗は5.3%、腋(わき)の多汗症は5.7%と、他の部位に比べると半分ほどです。足の多汗症が他の多汗症と比べて少ないのは、足の裏の汗は気づきにくいため、そもそも多汗症であることに気づかない人が多いからと考えられます。しかし足の多汗症には治療法や予防対策もあり、気付かないばかりに改善の機会を逃しているとも言えます。

足の多汗症が引き起こす悩み

足の多汗症は、日常生活に様々な問題を引き起こします。「靴下がグッショリ濡れて、他人の家に上がる時に恥ずかしい」 ・ 「靴を脱ぐとニオイがひどいので、靴を脱ぐのがコワい」 ・ 「かゆみや皮膚炎を起こしやすい」、など…これらの症状がストレスとなって、さらに足の汗を悪化させることもあるのです。

足の多汗症かチェックしてみましょう!

足の多汗症かどうか?気になる方はチェックしてみてください。半年以上にわたり、下記の6つの項目のうち、2つ以上当てはまる場合は、多汗症の可能性があるので、皮膚科に相談に行ってみましょう。

チェック項目
  • 最初に足の多汗に気づいたのが、25歳以下である
  • 左右両足に発汗が多い
  • 睡眠中は発汗がおさまる
  • 1週間に1回以上、足の多汗がある
  • 家族歴がある(親や兄弟姉妹も多汗の症状がある)
  • 足の多汗のために、日常生活に支障をきたす

足の多汗とかゆみ等を伴う場合は要注意 “足の汗は細菌が繁殖しやすい!”

汗で湿っている状態で靴下を履いている足は、真菌や細菌が繁殖しやすい状態です。足の多汗とかゆみ等を伴う場合は、皮膚科に相談しましょう。足のかゆみは水虫とは限りません。水虫は「白癬感染症」という病気で、白癬菌が原因の感染症です。かゆみやただれは皮膚炎や汗疱などの場合もあり、検査をすると判ります。足のかゆみやただれを伴う場合は多汗の症状を話して治療を受けましょう

2.足の多汗症の原因は?

汗は体温調節のための機能で、脳の視床下部から指令が行き、自律神経が調整しています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、体温調節はじめ体内の状態を一定に保つようにバランスをとりあっています。

発汗は、交感神経が刺激されることによって汗腺に指令が行きます。足の汗は、エクリン腺という汗腺から出る汗で、全身に広く分布しています。足は特に分布の密度が高く、足は冬でも1日にコップ一杯分の汗をかくと言われています。

汗は生命維持のために必要な体温調節機能ですが、気温が暑くない場合でも緊張などで誰でも手足や顔に汗をかきます。これが精神性発汗です。

緊張や不安などの精神的ストレスは、発汗指令を出す交感神経を刺激して汗を増やします。足の汗や臭いで不安な気持ちを抱いていると、さらに緊張を増し発汗が増えるという悪循環になる場合があります。また、足は心臓から遠いので、血流が悪く足先は冷えやすい状態です。冷えは交感神経の緊張を招き、自律神経を不安定にします。

3.足の多汗症~病院での治療

足の汗対策で病院の治療を受ける場合は、皮膚科に行くのが一般的です。皮膚科では、日本皮膚科学会の多汗症診療ガイドラインに沿って治療します。

  1. イオントフォレーシスによる治療(水に電流を流す装置で治療する方法)
  2. 塩化アルミニウム溶液(20-50%)を塗る治療
  3. ボトックス(BT-A)注射による治療

 

イオントフォレーシスによる治療

イオントフォレーシスによる治療は、水に電流を流して水素イオンを発生させ汗孔部を障害して詰らせる作用を利用しています。水に足を20分ほど浸すだけなので、手軽な治療法です。効果が出るまで数週間かかりますが、副作用がないのがメリットです。治療設備の有無を事前に確認しましょう。アレルギーや妊娠中、骨折で体内に金属を埋めている場合は医師に相談してください。

詳しくは、「イオントフォレーシスによる治療について」の記事を参照してください。

 

塩化アルミニウム溶液による治療

塩化アルミニウム溶液(濃度:20%~50%)を処方してもらって、就寝前に足に塗って、翌朝洗い流します。塩化アルミニウム溶液のアルミニウムイオンが汗腺の細胞膜に作用して汗の分泌を抑えます。効果が現れるまで、数日~1週間くらいかかります。継続が必要ですが、家で手軽にできるのがメリットです。皮膚がかぶれる場合があります。

詳しくは、「多汗症における塩化アルミニウムの効果」の記事を参照してください。

 

ボトックス(BT-A)注射による治療

A型ボツリヌス菌毒素(BT-A)製剤を注射する治療法です。発汗は、アセチルコリンという神経伝達物質によって汗腺に指令が伝達されます。ボトックス注射は、アセチルコリン放出を抑えて、注射した周辺の発汗を抑制します。1回の注射で効果は半年ほど続きますが、しびれなどの副作用が残る場合もあります。美容外科や形成外科で治療を受けられます。

汗抑制の効果が高いのがメリットですが、保険適用外なので、1回の費用が7~10万円ほどかかります。

詳しくは、「多汗症でのボトックス注射の効果と副作用」の記事を参照してください。

他にも交感神経遮断手術による治療方法がありますが、副作用も大きいので、他の治療や対策を優先することが勧められています。

 

4.自分でできる足汗対策

足の汗対策は、①発汗を抑える対策と ②臭いを抑える対策、さらに、③靴の対策 などが挙げられます。適度な運動はもちろんやるに越したことはないのですが、仕事で忙しいと続けるのは大変です。ここでは、日常的に簡単にできる足汗対策を紹介します。

自律神経を整えて”足の発汗”を抑える対策

足の発汗を抑える対策としては、自律神経を整えて精神的要因(ストレスなふど)に備えることが大切です。自律神経を整えるためには充分な睡眠など、規則正しい生活リズムと適度な運動が基本的な対策です。それ以外に簡単に自分で出来る、自律神経を整える対策を紹介します。

自律神経を整える対策

①10分間の腹式呼吸で自律神経を整える対策

おへそに意識を集中して、腹筋を使って10秒位かけて息をゆっくり吐ききります。腹式呼吸を5分以上続けると、脳内にα波が発生して、リラックス状態を作りだし緊張を和らげます。α波は15分後頃にピークになり、20分くらい迄です。10分位でも効果が得られます。

②足指のツボを刺激して自律神経を整える対策

足は第二の脳と言われるほど、神経線維が密集しています。ツボを押すと一瞬、交感神経が緊張しますが、その偏りを戻そうとして副交感神経が作用します。自律神経のシーソーの作用を利用した反射の働きですから、どちらに偏っていても、バランスが取れる効果的な対策です。

足の指爪の生え際の両側2箇所、2mmほど下に少し凹んだツボがあります。手の親指と人差し指で、両側から少し強めに10秒ほど押し続けます。それぞれ2~3回やります。足の親指を重点的にやると良いでしょう。

冷えを改善して”足汗を抑える”対策

足汗を抑える対策としては、”足を温める” ・ “足の血流を促進する” のが大切です。足の血行をよくする対策を紹介します。

①足指グーパー

足の指でジャンケンのグーパーを繰り返します。足指をしっかり握って開きます。

②足指を揉む

ぬるめのお風呂(38~40度位)にゆっくりつかりながら、足指をもみます。

細菌の増殖を抑えて”足汗の臭いを軽減する”対策

汗自体は本来ほとんど無臭です。汗の水分は皮脂の様々な成分と混じり合って、皮脂膜となって皮膚を保護しています。皮脂膜に存在する常在菌が成分を分解して臭いを発します。足汗で蒸れると湿潤になり、皮膚の垢が落ちやすく、常在菌の分解作用が促進され臭いが強くなります。足汗をふき取ったり、清潔にして、細菌の活動を抑えることが対策となります。

対策ポイント①

こまめに靴下を履きかえ、帰宅したら足を清潔にして角質や垢を落とし、風通しをよくすることが基本的な対策です。

対策ポイント②

靴にも汗が浸み込みます。靴を乾燥しないままに同じ靴を履くと、細菌の増殖が続きっぱなしです。湿った靴は乾燥させてから履くのが、足汗の臭い対策には大切です。靴用の抗菌・防臭スプレーなどの対策商品もあるようです。

食生活で足汗と臭いを抑える対策

足汗と臭いを抑えるためには、食生活の改善も大切な対策です。刺激の強い香辛料などが発汗を促すことは知られています。それだけでなく足汗の臭いの元となる成分を分泌する皮脂も食生活の影響が大きいのです。

対策ポイント①

お酒・タバコ・刺激の強い香辛料などは、交感神経を刺激して汗を増やしますので控えましょう

対策ポイント②

動物性タンパク質や脂肪の多い食品は、足汗の臭いを強めますのでバランスの良い食事が大切です

対策ポイント③

抗酸化作用のある緑黄色野菜などは、脂肪の酸化を抑えて皮脂の臭いを抑制します。

バランスの良い食生活が臭いを抑える対策となりますので、ぜひ心がけてみてください。

足の多汗症の治療・対策は様々ですが、日常的に出来る対策も多いのです。足汗や臭いは、1つの対策だけで抑えるのは難しいので、自分にできる対策を積極的に取り入れることが大切です。