ワキガは体臭とも一緒にされることもありますが、ワキガと一般的な体臭では原因が異なります。ワキガは病気ではありませんが、「腋臭症」という名称がついており、アポクリン腺の汗が主な原因です。まずは、ワキガ体質かどうかチェックして、予防に役立てましょう。
1. ワキガの定義
ワキガとは「腋臭症」という名称でアポクリン腺の分泌過剰による腋窩(えきか)から特有の臭いを発する状態をいいます。
ワキガであっても、腋窩多汗症(えきかたかんしょう)があるか・ないかでも対処法が異なります。ワキガで多汗症を伴うのは60%程度と言われています。ワキガ体質ではなく、腋窩の多汗症の場合もあります。この場合は手足などの多汗症を伴うことも多くなっています。
エクリン汗腺からの汗による場合は、「腋臭症」とは言いません。
2. ワキガ体質の7つのチェックポイント
ワキガ体質かどうかチェックしてみましょう!特に、チェックポイント①と②は重要なポイントです。
耳垢が湿っているか
耳の外耳道には、アポクリン腺が分布しており、耳垢はワキガ体質を判定する参考になります。耳垢には、乾燥したタイプと、湿ったタイプがあります。湿った耳垢の人の約80%に腋臭症の可能性があると言われています。
※耳垢はかなり指針になります。ですから、普段のリラックスした状態の時の耳垢を参考にしてください。興奮した後や、運動後などは不適切です。普段でも綿棒に湿った耳垢がつくのでしたら、湿りタイプです。
家族にワキガの人がいるか
ワキガ体質は遺伝性です。両親ともワキガである場合は、8割の確率で遺伝すると言われています。片方の場合は、50%の確率で遺伝すると言われます。ワキガかどうかわからない場合は、耳垢が湿っているかどうかでも判断できます。
腋毛(わきげ)が多い、または太いか
アポクリン腺は、体毛の毛穴(皮脂腺)と同じところにあり、毛穴を通して皮脂に混じって出されます。体毛が多いと、それだけアポクリン腺が多いことになります。また体毛が多いと、臭い成分を作り出す細菌が繁殖しやすいです。また、体毛が太いと毛穴も大きいので、分泌量が多くなります。
思春期頃~20代前半に始まった?いつごろからか
ワキガの発生源のアポクリン腺は、性ホルモンによる影響を受けます。第二次性徴の始まりと共に、アポクリン腺の分泌が盛んになります。腋臭症の発症年齢は、思春期から20代前半が多いのです。平均発症年齢は、16歳~18歳と言われています。遺伝的にワキガ体質の人でも、その時期を過ぎて発症しなければ、その後の発症は少ないと言われています。
腋汗の量が多いか
腋汗には、アポクリン腺とエクリン腺の汗がありますが、どちらも交感神経が刺激されることによって発汗します。汗の量が多いということは、交感神経が刺激されやすいということです。自律神経が不安定だと、腋汗も多くなります。アポクリン汗腺の臭い成分が、エクリン腺の汗の水分に混じって臭い分子となり周囲に飛散します。つまり発汗量が多いと、それだけ臭いが飛散しやすくなるわけです。
衣類の腋の部分に黄ばみができるか
アポクリン腺の汗には、色素が含まれています。腋汗でも、エクリン腺の汗は無色です。黄ばみができるのはアポクリン腺の分泌が多いと言えます。
油っぽい食べ物や肉類が好きか
ワキガの臭いは、脂質系の臭いで、脂肪酸が臭い成分のもとです。脂肪の多い食品を取ると、脂肪酸が増えます。動物性脂肪は、アポクリン腺や皮脂腺の活動を刺激します。
3. 腋臭症の重症度レベルの判定
ワキガ体質だとわかった場合に、その重症度がどの程度かによっても対応が違ってきます。腋臭症の場合は、ガーゼテストでレベル判定をします。腋にガーゼをはさんで、数分間、汗をかく位の運動をします。その後、医師がガーゼの臭いを嗅いで判定します。
- レベル1=臭わない
- レベル2=ごくわずかに臭う
- レベル3=鼻を近づけるとわかる
- レベル4=鼻を近づけなくてもわかる
- レベル5=ガーゼを手に持っただけでわかる
自分でチェックしてみて ”レベル3以上に相当する” 場合は専門家に相談しましょう。
ワキガは利き手側の方が臭う
一般的に、利き手側の腋の方が臭いが強くなっています。臭いをチェックする時は、利き手側の方でチェックします。利き手側にアポクリン腺が多く、太い傾向にあります。その理由は、利き手側は血流がよく酸素も栄養も届きやすく、長い間に、アポクリン腺の発達が促されると考えられます。2つめの理由は、発汗量の差です。発汗量も利き手側の方が多くなる傾向があります。腋汗はエクリン腺とアポクリン腺がありますが、エクリン腺の汗の水分もアポクリン腺の臭いの伝達に関っています。
4. ワキガの発症に男女差はあるか?
明確な男女差はありませんが、やや女性の方に多いようです。平均発症年齢も女性が16歳で、男性は18歳と女性の方が少し早くなっています。女性の方に多い理由としては、女性の方が性周期の変動が大きく、女性ホルモンの働きによって臭いが強くなったり、弱くなったりして気がつきやすいということが挙げられます。
5. ワキガ体質チェックポイントのまとめ
最後に、ワキガ体質チェックリストをまとめて挙げておきます。多く当てはまるほど、ワキガ体質であることが疑われます。
- 耳垢が湿っている
- 家族にワキガの人がいる
- 腋毛が多い、または太い
- 思春期頃~20代前半に始まった
- 腋汗の量が多い
- 衣類の腋の部分に黄ばみができる
- 油っぽい食べ物や、肉類が好き
ワキガ体質だからといって、必ずワキガになるというわけではありません。
臭いの感覚は、個人によっても非常に違います。気にし過ぎることも、緊張となって発汗を促し、臭いを強くする場合もあります。しかし、普段から臭いが気になっていて、ワキガ体質に当てはまるようなら、皮膚科に相談に行ってみましょう。そして、食生活を見直したり、適度な運動と休養をとるなど、予防を心掛けましょう。